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4.呼吸と自律神経の関係

「深呼吸をすると、少し落ち着く気がする」

そのような経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

呼吸と自律神経には、生理学的なつながりがあります。

自律神経とは?

自律神経は、心拍、消化、血管の働きなど、身体のさまざまな機能の調節に関わる神経系です。

大きく分けると、交感神経と副交感神経があります。

交感神経: 身体の活動や緊張などに関わる
副交感神経: 休息や消化などに関わる

ただし、交感神経が常に悪く、副交感神経が常に良いというわけではありません。

どちらも、身体の状態に応じて必要な働きをしています。

呼吸は自分の意思で変えられる

呼吸は、通常は意識しなくても自動的に行われています。

一方で、私たちは意識的に呼吸の速さやリズムを変えることもできます。

このように、呼吸は自動的な調節と意識的な調節の両方が関わる、特徴的な身体機能です。

ゆっくりした呼吸で何が変わる?

健康な人を対象とした研究では、ゆっくりとした呼吸によって、心拍数の変動や呼吸と心拍の連動、自律神経活動に関連する指標などに変化が見られることが報告されています。

特に、ゆっくりした呼吸では、呼吸の周期に合わせて心拍数が変動する「呼吸性心拍変動」が現れやすくなることが知られています。

ただし、これらの変化がすべての人に同じように起こるわけではありません。

また、ゆっくり呼吸をすれば必ず自律神経のバランスが整う、ストレスが解消する、病気が改善するといった結論にはなりません。

呼吸と自律神経には関係がありますが、呼吸だけで身体全体の状態をコントロールできるわけではないのです。

【参考:European Respiratory Society「The physiological effects of slow breathing in healthy humans」】

5.呼吸とリンパの関係

B.LOOMでは、呼吸と身体のつながりを大切にしたケアを行っています。

ここでは、リンパの働きと呼吸の関係についても見ていきましょう。

リンパ液は、どのように運ばれるのか?

リンパ系は、組織から回収した余分な水分や、さまざまな物質を含む液体を運び、最終的に血液循環へ戻す役割を担っています。

リンパ液の流れには、リンパ管の壁にある平滑筋の働きや、周囲の骨格筋の動き、呼吸に伴う圧力変化など、複数の要素が関係します。

特に、胸腔内と腹腔内の圧力変化は、リンパ液の流れに影響を与える要因のひとつと考えられています。

呼吸による圧力変化

呼吸では、横隔膜の動きに伴って胸腔内や腹部の圧力が変化します。

この圧力変化は、リンパ系を含む体液循環の働きと関係しています。

ただし、

「深呼吸をすればリンパが一気に流れる」

「横隔膜を動かせば、全身のむくみが解消する」

といった単純な説明は、科学的には適切ではありません。

リンパ液の流れは、呼吸だけで決まるものではないからです。

身体を動かすこと、筋肉の収縮、リンパ管自体の働きなど、さまざまな要素が関わっています。

B.LOOMが呼吸を大切にする理由

B.LOOMでは、施術の際にお客様の呼吸の様子にも目を向けています。

呼吸がしやすい姿勢であるか。

首や肩周辺に力が入り続けていないか。

胸郭や身体を動かすときに、無理が生じていないか。

こうした身体の状態を確認しながら、その方に合わせたケアを考えていきます。

呼吸を意識することは、身体の状態に気づくきっかけにもなります。

ただし、施術によってリンパの流れがどの程度変化するかについては、手技の種類や条件によって異なり、さらなる研究が必要な部分もあります。

6.呼吸を意識するときに大切なこと

「正しい呼吸をしなければ」と頑張りすぎる必要はありません。

呼吸は本来、身体が状況に合わせて調節しているものです。

まずは、普段の呼吸に気づくところから始めてみましょう。

日常でできる呼吸のセルフケア
① 楽な姿勢をつくる

椅子に座る、または楽な姿勢で横になります。

肩を無理に下げようとせず、身体の力が抜ける姿勢を探してみましょう。

② 呼吸を観察する

鼻から自然に息を吸い、口または鼻からゆっくり息を吐きます。

呼吸を深くしようと頑張るのではなく、

「今、自分はどのように呼吸しているのだろう?」

と観察してみましょう。

③ 吐く息を急がない

無理のない範囲で、吸うときよりも吐く時間を少し長くしてみる方法があります。

ただし、長く吐くことが苦しい場合は、無理に時間を延ばす必要はありません。

呼吸を止めたり、過度に深く吸ったりすることも避けましょう。

④ 胸郭や身体の動きを感じる

息を吸ったときに、胸や脇腹、腹部などがどのように動くかを感じてみます。

左右差や動きの違いがあっても、すぐに異常と判断する必要はありません。

身体の動きには個人差があります。

呼吸は、うまく行うことよりも、自分の身体の状態に気づくことから始めてみましょう。

7.B.LOOMが考える「呼吸と身体のケア」

B.LOOMでは、身体を部分的に捉えるのではなく、全体のつながりを大切にしています。

首や肩のこわばりが気になるときも、気になる部分だけに目を向けるのではなく、

姿勢や身体の使い方
胸郭や背中の動き
呼吸のしやすさ
筋肉の緊張状態
生活習慣や休息の状況

など、さまざまな視点から身体を見つめます。

もちろん、ひとつの症状に必ずひとつの原因があるわけではありません。

また、施術によって呼吸機能が改善することを保証するものでもありません。

それでも、呼吸を通して身体の状態に目を向けることは、自分自身の変化に気づくための大切なきっかけになると考えています。

呼吸から、身体に目を向ける時間を

毎日繰り返している呼吸。

その一つひとつの動きには、筋肉や骨格、神経系、循環など、さまざまな身体の仕組みが関わっています。

B.LOOMでは、これまで学んできた機能解剖学や呼吸、リンパなどの知識を大切にしながら、お客様一人ひとりの状態に合わせたケアを心がけています。

一時的なリラクゼーションだけでなく、

「自分の身体の状態を知り、これからも健やかに動ける身体を大切にする」

そのための時間を、皆さまと一緒につくっていけたらと思っています。

首や肩のこわばり、身体の重だるさ、休んでもすっきりしない感覚など、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

参考文献・情報源

本記事は、呼吸生理学や機能解剖学に関する以下の文献・資料を参考に構成しています。

National Heart, Lung, and Blood Institute(米国国立心肺血液研究所)
How the Lungs Work – How Your Body Controls Breathing
呼吸筋や神経系による呼吸調節について。
Russo MA, Santarelli DM, O’Rourke D.
The physiological effects of slow breathing in the healthy human.
Breathe. 2017;13(4):298–309.
ゆっくりした呼吸と呼吸器系、循環器系、自律神経系との関係について。
Fogarty MJ, Mantilla CB, Sieck GC.
Breathing: Motor Control of Diaphragm Muscle.
Physiology. 2018;33(2):113–126.
横隔膜の運動制御や神経・筋機構について。
Sieck GC, Fogarty MJ.
Diaphragm muscle: a pump that can not fail.
Physiological Reviews. 2025;105(4).
横隔膜の構造や呼吸以外の機能、神経筋制御について。
B.LOOMからの大切なお知らせ

呼吸の変化には、姿勢や筋肉の状態だけでなく、肺や心臓などの疾患が関わっている場合もあります。

息苦しさ、胸の痛み、突然の呼吸の変化などがある場合は、施術やセルフケアを優先せず、医療機関にご相談ください。

B.LOOMでのケアは、医療行為や疾患の治療を目的としたものではありません。

 

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